前十字靱帯断裂というケガをした時には、大きく分けて2つの選択肢があるといわれています。1つは再建手術を行い、長いリハビリに耐え、時間をかけてスポーツ復帰・競技復帰をしていく方法。もう1つは、手術は行わず切れた靱帯とうまくつき合いながら、筋力やテーピング、装具でカバーしながらスポーツ復帰をしていく方法です。

 

 幸い(?)僕の場合は前者、後者両方とも経験しているので、スポーツ復帰・競技復帰という視点から両者について、僕なりに思うことを書いてみたいと思います。ただ、両者を経験した僕の意見をあえた最初に言わせてもらうと「再建手術をするべし!」です。

 

ただし、あくまで本文章は僕という一個人の経験に基づいて書いているものです。参考程度にしておいてください。この文章をもってなんらかの不利益を被ったとしても、それは僕の関知しないところなのであしからず。また、靱帯断裂してしまった人、またその疑いのある人、まずは病院で診察を受けましょう。手術するしないの判断はそれからです。

 

 それではまず、手術をしない場合についてです。一般的に保存療法といわれているみたいですが、メリット(しつこいようですが僕にとっての)としては・・・

 

・手術をしなくても日常生活にはさほど支障はない(個人差はあるようです)。

レクリエーションレベルではあるが比較的短期間でスポーツ復帰ができる。

・長期入院が必要ない。

・長くつらいリハビリを経験しなくても済む(筋トレなどのリハビリは必要)。

などなどです。

 

 また、デメリットとしては・・・

 

・競技レベルでのスポーツ復帰が難しい。(中にはやっている人もいますが・・・)

・いつも、膝崩れを起こすかもしれないという不安と隣り合わせ。

・長期間の入院と欠勤が必要。

・痛くてつらい長期のリハビリに耐えなくてはならない。

・放っておくと、半月板損傷など2次的障害を引き起こす。

などなどです。

 

 僕の場合は、履歴を見てもらえば分かりますが、半月板損傷と靱帯断裂を併発しました。半月板は治療し、靱帯再建手術は行わず筋トレメインのリハビリでなんとか術後4ヶ月でスキーを履けるまでになりました。しかし、当然ながら怪我する前と同じ動きをすることはできず、不本意なスキーしかできませんでした。また、良くなることのない悪化させないためのリハビリというのも精神的につらいものです。結局、半年以上がんばったリハビリも1度の転倒で0になりました。装具をつけているにもかかわらず再度痛めてしまいました。装具は絶対ではありません。

 

 結局、靱帯がない状態でスポーツができたのはわずかな期間でした。モーグルという比較的激しいスポーツをしていたためかもしれませんが、靱帯がないというのは自分が思っている以上に膝に負担がかかるようです。

 

 そういうわけで、前十字に限らず、靱帯を断裂してしまった人で、まだまだ競技の世界に身を置きたいと思っている人、あるいは全力でスポーツに打ち込みたい人なら、迷わず手術をすべきだと僕は思います。1年間無駄にしたなという気持ちもあります。現在、この文章を書いているのは術後6ヶ月ちょっとたった時期ですが、今では手術をして本当に良かったと思っています。まがりなりにもサッカーの試合プチデビューも果たしました。ダッシュに近いスピードでも走れます。11月のスキー復帰も見えてきました。怪我する前と同じパフォーマンスができるかどうかは分かりませんが、少なくとも去年(靱帯がない状態)よりはまともな動きができるような気がしています。ただし、はっきり言ってリハビリは相当つらいです。社会の怖さと冷たさも実感することでしょう。自分でいうのも何ですが、よく2年間も腐らずにこんなこと続けてこられたなと思っています。

 

最終的に手術するしないは、本人の判断によるところです。どの選択が最良か。自身の状況、家庭の状況、職場の状況等をよーく考えてご判断いただければと思います。

 

本文が怪我をされた方にとって、なんらかのお役に立っていれば幸いです。

 

 

戻 る